13章 井伊家創設の秘密-4
『日本三大実録』貞観8年(866)12月26日の条に「遠江国正六位上蟾渭神及び鳥飼神を従五位下とする。」という記事がある。この蟾渭神は、引佐町井伊谷の北西端に鎮座する渭伊神社である。鳥飼神は、細江町中川(祝田区)に鎮座する蜂前(はちさき)神社である。
社号は八ケ前(はちがさき)の地名によって「蜂ケ前(はちがさき)」と称したが、允恭天皇の代(5世紀)以降は鳥飼(とりかい)神社または羽鳥(はとり)大明神ととなえ、927年(延長5)にさらに「蜂前神社」と改め古名に復したと伝えられる。
地名「八ケ前」の[八]は「八代(やしろ)」すなわち「社(神社)」または「東西南北の四方位と東北・東南・西北・西南の四方角合わせて八方位」をあらわすものであったと考えられる。つまり、「八ケ前」という地名は「八方位の基点」をあらわすものであったと考えられる。
「鳥飼神社」・「羽鳥大明神」という社号は、「大鳥の形をした郷すなわち建比良鳥の地上絵」をあらわすものとなる。
この鳥飼神社すなわち蜂前神社のほぼ1000mの真南に、滝峯不動尊(祝田区)がある。この滝峯不動尊は、7章で説明したように、都田川の河口東岸に設定した経緯度原点と同緯度の経緯度基点となる地である。この滝峯不動尊の経度軸は蜂前神社のすぐ前(わずか2mぐらい東)を通過する。すべての天体部は一日24時間ちょうど一周するのではなく、24時間より4分短い23時間56分で一周する。蜂前神社の鳥居の中心が滝峯不動尊の経度軸より2m西にはずれるのは、この秘密をあらわすものである。ゆえに、「蜂前」の[蜂]と「滝峯」の[峯]は、両字とも同じ[夆]という字部を有する。
滝峯不動尊から蜂前神社までは谷となり森林となる。このような地域で経度を測量するには、蝋(ろう)に点(とも)す灯が用いられた。この蝋は、蜜蜂の巣よりとれる「密蝋(みつろう)であった。この深い林の中で経度や緯度を測量するときに用いられた灯をともす器具の名は「如意宝珠(にょいほうしゅ)」と呼ばれた。
『隋書』倭国伝は「如意宝珠あり。その色青く、大きさ鶏卵のごとく、夜はすなわち光あり。いう魚の眼精(めだま)と」と記載する。
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