18章 邪馬台国説は日本を滅ぼす-2
すべての邪馬台国説は「文献批判」という思考方法にもとづいて、『魏志倭人伝』の記事を曲げて読む。
要するに、この〈文献批判〉は邪馬台国説を正当化しようとする学識ある人々の愛称であるが、その実体から言うと〈文献批判〉の本名は〈誤読〉である。
〈文献批判〉は西欧近代科学の致命的欠陥《傲慢(ごうまん)な単純化》を親として生まれた子である。だから、〈文献批判〉の本名は〈誤読〉ということになる。
〈文献批判〉の実体は〈誤読〉であることは、文献批判で考える学者みずから表示している。
1979年11月1日に、上田正昭・直木孝次郎・森浩一・松本清張編集委員『ゼミナール日本古代史 上〔邪馬薹国を中心に〕』(光文社)が初版第一刷発行された。この本の執筆者たちは、邪馬台国説の権威者たちである。彼らは学界を代表して〈文献批判〉は正しいと思考方法であると確固たる信念を抱く人たちということになる。
この本の執筆者たちは、石井謙治、石尾芳久、石野博信、井出至、上田正昭、江上波夫、大谷光男、大庭脩、大林太良、小田富士雄、笠井倭人、金関丈夫、国分直一、桜井徳太郎、潮見浩、直木孝次郎、西嶋定生、西谷正、原島礼二、樋口清之、松本清張、水野祐、森浩一、山尾幸久、山本武夫の各氏である。
この本の序は、当時の考古学者の第一人者と評される江上波夫氏が書いた。
江上氏は序文で、下記のごとく〈文献批判〉について説明する。
「伝承にしてもいろいろなものが各地域に存在しており、それらをある時期に適当に組み合わせてまとめたものが『古事記』や『日本書紀』であろうから、現代史学や文献批判の立場からすれば、それらに矛盾や不統一があって当然なのである。それをたんに矛盾や不統一がるからということで無視することは出来ない。そのことは広い意味の民族学、すなわち神話、伝承、民俗などを取り扱う学問では当然なことであるが、歴史学界では必ずしも一般的になっていないのが現状である。また軽々しく文献史料を信用してはいけないというが、なぜ信用してならないのか、信用してはならないのはどのような点なのか、あるいはどのようなとらえ方をしたならば信用できるものとなるのか、などを見きわめて、史料を利用することが必要である。」
上記の江上教授の文章を2、3回繰り返して読めば、〈文献批判〉の実体は〈誤読〉であることが察知できる。
江上教授は「軽々しく文献史料を信用してはいけないというが、なぜ信用してはならないのか、信用してはならないのはどのような点なのか、あるいはどのようなとらえ方をしたならば信用きるものとなるのか、などを見きわめて、史料を利用することが必要である」と述べているとおり、『魏志倭人伝』のどの記事も軽々しく信用してはいけないと主張する。このように、〈文献批判〉はすなわち〈誤読しなければいけない〉と言っていることになるので、〈文献批判〉はまさに〈誤読〉以外のなにものでもないことになる。
だから、すべての邪馬台国説は〈誤読〉して成立したものであるから、誤読説ということになる。
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