日本が滅びる・24
●誰(た)がために戦わん
◆前回のブログ「卑弥呼の逆襲:日本が滅びる・23」で解説したように――『三国志』呉書孫権伝(そんけんでん)は「呉の黄竜2年(230)、将軍衛温(えいおん)・諸葛直(しょかつちょく)を派遣して、1万の武装兵を率いて海に浮かべ、夷州(いしゅう)・亶州(たんしゅう)を求めしめ」と記述する。この呉の遠征軍が目指した国が小国・日本であった。
上記のごとく、230年代に誕生した小国・日本は――7世紀末~8世紀にあっては、A図に示す防人(さきもり)が徴集された東国(東海・関東地方)であった。
呉の遠征軍と戦って小国・日本を防衛するため、『魏志倭人伝』末部に登場する卑弥呼の宗女(卑弥呼に代わって巫女界を代表する女性)の13歳の壱与が小国・日本の女王に就任した。また、『魏志倭人伝』の魏の正始八年(247)の記事に登場する載斯烏越(そしあお)が小国・日本の防衛する軍王(いくさのおおきみ)に就任して、壱与の夫となった。
◆わがブログ「卑弥呼の逆襲:日本が滅びる・16」で解明したように――白川静著『字統』(平凡社)は「載斯烏越」の先頭字について「載はおそらく兵車を祓う儀礼で、これによって軍行が開始されるであろう」と解説する。この[載]の字源解説の文中に「開始」という語は、第9代「開化天皇」の「開化」と[開]の字を共有する。
『古事記』開化天皇紀は「天皇は春日の伊耶河宮(いざかわのみや)に居住して天下を治めた。天皇は丹波の大県主(おおあがたぬし)で名は由碁理(ゆごり)という方の娘である竹野比売(たかのひめ)と結婚した」と記述する。
開化天皇が居住した「伊耶河宮」の先頭2字と「伊耶那岐命」「伊耶那美命」の先頭2字は、共に「伊耶」で合致する。だから、「開化天皇」は小国・日本の軍王の「伊耶那岐命」であり「載斯烏越」であった。したがって、『魏志倭人伝』末部に登場する「壱与」が「竹野比売」にして、13歳の時に小国・日本の女王に選ばれた「伊耶那美命」であった。
◆小国・日本の女王伊耶那美命は、国作りの柱を〔愛〕と定めた。
この小国・日本の〔愛〕の理念はわがブログ「卑弥呼の逆襲:【用語の解説】」の「9・日本建国の〔愛〕の理念」にて指摘したように――A図に示す『万葉集』巻二十におさめられる東国(小国・日本)の防人(さきもり)たちが作った4321番から4436番までの和歌で具体的に表示されている。
◆伊耶那美命は熊野那智大社(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山)の主神として祭られる。
伊耶那美命は那智の大滝の精霊となる。この那智の大滝の正面には、B図のような三体の神具(しんぐ)がある。中央の神具は「牛頭天王(ごずてんのう)」と呼ばれる。
壱与・伊耶那美命が生存した3世紀、わがブログ「卑弥呼の逆襲:日本が滅びる・17」で解説したように、C図に示す「ジャコウウシの顔の銀河」が天頂にめぐってきた。[牛]の字源は「ジャコウウシ」である。伊耶那美命が生存した当時、C図に示す「[牛](ジャコウウシ)の頭頂部を覆う湾曲した大きな角の部分となる銀河」が天頂にめぐってきたので、この銀河が「牛頭天王」と呼ばれることになった。C図の「ジャコウウシの湾曲した角の先端部となる銀河」を、私は「長方形の暗黒天体部」と名づけた。
D図に示すように、「牛頭天王」中央の「長方形」の意匠は「長方形の暗黒天体部」をデザインし、「牛頭天王」の両脇の飾りは「長方形の暗黒天体部の2連菱形」をデザインする。
D図上部の「激流に似る銀河」は[滝(瀧)]の字(字源・字形・字義)となった。その証拠に、[滝(瀧)]の金文形頭部はD図左端に配する「激流に似る銀河」を図案するものとなる。
白川静著『字統』は[滝(瀧)]の字源解説で――『説文解字』は「雨瀧々(ろうろう)たるなり」と雨の降るさまとする。〔広義校訂(こうぎこうてい)〕に、字は水に従うものであるから、急流の水を本義とすべしという。わが国の『万葉集』の用法はその意で、「雨零(ふ)れば瀧(たぎ)つ山川」」(10巻・2308番)のようにいう。いわゆる瀧は、古くは垂水(たるみ)といった。――と解説する。
上記の[滝(瀧)]の字源解説文にある「〔広義校訂〕に、字は水に従うものであるから、急流の水を本義とすべしという」、この本義「急流の水」は、D図上部の「激流に似る銀河」の形状に合致する。また、「激流に似る銀河」は『字統』の「雨瀧々たるなり」すなわち「瀧のように降る雨が洪水となって氾濫する河川」の様子に相似する。D図をE図のように90度転回すると、「激流に似る銀河」は「垂水」すなわち「那智の滝」のように観える。
C図に示すように、「激流に似る銀河」は「牛(ジャコウウシ)頭頂部を覆う湾曲した大きな角となる銀河」と重なる。だから、伊耶那美命が生存した3世紀に天頂を通過した「ジャコウウシの頭に似る銀河」は「牛の頭の形をした天王の銀河」とされて「牛頭天王」と称されることになった。また、E図の[滝(瀧)]の字となる「激流の似る銀河」は「牛頭天王の大きな角となる銀河部」と重なる。このような字源銀河の秘密をあらわして、B図に示す「牛頭天王」の神具は那智の滝の正面に据えられることとなった。
◆F図は、B図の三体の神具のうちの下段左側の神具である。
この神具の右側は、富士山の形をしている。ゆえに、この〔富士山の形をした神具〕は、那智大社の主神にして那智の滝の精霊となる伊耶那美命がA図に示す富士山周辺の東国の日本国の女王であったことを表示するものとなる。
◆F図の左側の神具は〔水器(すいき)〕である。
〔水器〕は伊耶那美命が提唱した〔愛〕の理念を表示する。
水器は、家々の神棚の中央にちょこんと可愛らしくすわる。この水器を手にとって間近に見れば、水器は日本建国の〔愛〕の理念をあらわす見事な造形物であることに気づく。
★白い陶器の水器は、水を入れる神具である。
G図の左図に示すように、水器は乳房の形となる。水器のフタを手でつまむ突起部分が乳首となる。水を入れる容器は妊婦のおなかの形となっている。ゆえに、毎朝新しく取り代える〔水〕は〔羊水〕と〔胎児〕をあらわす。
これゆえ、白くて小さな陶器の水器は、伊耶那美命が提唱した日本建国の〔愛〕の理念をあらわす造形となる。
水器は漢字が作られた銀河とともに広大な旅路をつづけて、こんにち家々の神棚にちょこんとすわって日本建国の〔愛〕の理念を伝えている。
★G図の左図上部に図示したように、〔水器のフタの側面形〕は漢字の[亠(とう)]のごとくに観える。ゆえに、側面形の水器の〔フタのつまむ突起部(乳首)〕は〔子午線(天頂点と真北の目星を結ぶ線〕をあらわす。水器のフタに付く〔同心円の溝の文様〕はH図に示す〔4~6秒間くらいでキャッチするときの秒数〕をあらわす。上記したように〔水器に入れる水〕はI図中央の「胎児」をあらわす。『説文解字』は[幺(よう)]の字源を「小なり。子の初生の形に象(かたど)る」と解説する。この『説文解字』の[幺]の解説は、I図中央の出産第1期(開口期)の「子宮頸部(しきゅうけいぶ)がすっかり開いて頭が産道に進入する胎児」を説明するものである。古代の人々は[幺]すなわち「出産第1期の胎児」が産道を通過するように無心無欲になって[玄]をキャッチすれば命を確保することができた。しかし、“必ず[玄]をキャッチする”と欲を有すると命を失った。ゆえに、〔[玄]をキャッチするときの心得〕をあらわして、[玄]の字は[亠]の下に[幺]を加えることになった。
したがって、水器は日本建国の〔愛〕の理念を造形するとともに、[玄]の字(字源・字形・字義)と〔[玄]のキャッチ〕の秘密をも表現する造形物でもあった。
◆紀元前1世紀に〔天の北極〕を最も重視するシナ天文が完成した。この結果、伊耶那美命が生存した3世紀になると、魏・蜀・呉の中国においては水器に造形される〔[玄]をキャッチする眼力と技を鍛錬する習慣〕が廃(すた)れた。このため、中国の人々は中国と日本列島を隔てる大海を渡ることができなくなった。
ゆえに、230年に小国・日本へ目指して遠征した1万の呉軍は、H図に示す[玄]をキャッチすることができなかった。ゆえに、『三国志』呉書孫権伝は――呉の遠征軍は大海に入ると間もなくして8割から9割の兵士が海の藻屑(もくず)となって落命して壊滅した――と記述する。
◆銀河各部の形状から生まれた漢字は中国から起源した。I図に示すように、「長方形の暗黒天体部」は[命]の字となり、[命]の字は『古事記』上巻では英雄の尊称「みこと」をあらわす字となった。また、漢字の世界は[玄]を基軸にして構築される。というのも、ヒトにとって最も大事なものは「いのち(命)」であり、[命]の字となる「長方形の暗黒天体部」は[玄]すなわちH図に示す「天頂緯度線と子午線」が最もキャッチしやすい「命」を確保するに最高に理想的な天体部であるからであった。ゆえに、「長方形の暗黒部」の頭頂部となる「激流に似る銀河の先端部」は[玄]の字(字源・字形・字義)となった。だから、小国・日本王権も倭王朝も――呉の遠征軍は[玄]をキャッチして襲撃してくるにちがいないと確信し、まさか漢字の国の呉の遠征軍が〔[玄]をキャッチする眼力と技〕を失っていて大海を渡れず壊滅する――なんてことはまったく予想せず、呉の遠征軍は必ず襲撃してくるに決まっていると考え、その決戦に余念もなく準備していたことになる。
前回のブログ「卑弥呼の逆襲:日本が滅びる・23」で詳細に解説したように――新生日本国は旧(もと)東鯷人国(とうていじんこく)であった。東鯷人国は孫権が魏の背後の脅威の燕(えん)を味方にするための巻き添えで呉の水軍に襲撃されることになった。この戦争は東鯷人にとっては身に覚えがない不条理きわまりないものであって、なにゆえ呉軍に襲撃されなければならないのか、なにゆえ自国を滅ぼして日本国にならなければならないのかと、呉への憎悪や怨念(おんねん)はすさまじかったにちがいない。
このような状況にあって、日本国の女王となった伊耶那美命は〔愛〕について説いた。〔愛〕を説いたということは「呉の兵士たちは憎んではならない」「まず呉の遠征軍と話し合って平和的に解決することが先決である」と彼女は東鯷人たちを説得したにちがいない。
こんな日本国の女王を、東鯷人はじめ倭から派遣された兵士たちは“なにを寝ぼけた冗談をおっしゃるんだ! 戦争は夢物語じゃないんだ。愛だかヘチマだか知らねェだが、そんなすっとんきょうなものは戦争には無用だ。ヤッコさんたちは最初(はな)からオイラたちの命を束ねて枯れ柴(しば)のように燃やしてしもおうと魂胆でやってくるんだ。愛だかヘチマなんだか訳のわからねェもののために、のんきに構えていられるか。敵はオイラたちを最初から皆殺しにすると決めてやって来るんだから、まったく話し合いの余地なんてありっこないんだ”などと激しく怒ったり非難したり罵(ののし)ったにちがいない。
しかし何のために、戦うのであろうか。東鯷人国のためか新生日本国のためか。
いったい誰のために呉軍と戦うというのか――東鯷人は祖父(ジッチャン)や祖母(バッチャン)のため、父母(ちちはは)のため、妻と子のため、恋人のため、恩人のため、親友のため、親しい隣人のために戦うしか方法がなかったのである。このようにあらためて何のために誰のために戦うのかと考えてみれば、愛する人々のために戦うのであった。
女王伊耶那美命は東鯷人がおかれている現実や立場を的確にとらえて、〔愛〕の重要性を説いたのである。
倭から派遣された兵士たちにとっても、東鯷人や新生日本国のために戦うわけにはいかなかった。彼らは故郷から遠く離れた日本国に定住するつもりはなく、愛する人々が待つ故郷へ一刻でも早く帰りたかったからである。彼らも東鯷人と同じで、愛する人々のために戦うしかなかったのだ。
ゆえに、伊耶那美命がかかげた〔愛〕は新生日本人となった東鯷人と倭からの派遣兵たちの心をさらに小国・日本の兵士以外の人民の心をとらえて、小国・日本の国作りの理念となった。
この日本建国の〔愛〕の理念は、A図に示す国々の防人たちが作った『万葉集』巻二十におさめられる和歌に詠まれて明確に現在に伝えるものとなる。
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