日本が滅びる・47
●〔愛〕を掲げて誕生した日本建国史の解明(2)
◆前回の「卑弥呼の逆襲:日本が滅びる・46」のブログにて明らかにしたように――『魏志倭人伝』末部にある「難升米(なしめ)に拝仮(はいか)し、檄(げき)を為(つく)り之(これ)を告喩(こくゆ)せしむ」という文の後に、また「政等、檄を以て壱与に告喩す」という文が記述される。
このように、魏の斉王の詔書(しょうしょ)と魏の軍旗の黄幢(こうどう)を携えて倭地に派遣された帯方郡使の張政(ちょうせい)は、“狗奴(くな)国を討伐すべし”と告げ喩(さと)す檄(軍書)を二度も作った。
それというのも、倭女王の伊耶那美命はかつて小国・日本の女王であった時に国作りの柱を〔愛〕と定めて人民に説いたからである。これゆえ、〔愛〕の倭女王伊耶那美命は狗奴国討伐に反対し、先ず狗奴国と交渉して平和的に解決すべきであると主張して、張政の檄文の告喩に従うことを拒絶した。
狗奴国討伐は亡き倭女王卑弥呼が魏と結ぶ軍事同盟と伊耶那美命の夫である載斯烏越(そしあお)・伊耶那岐命が帯方郡太守の王頎(おうき)と交した約束であったので、倭女王伊耶那美命の欲求は約束違反にして魏との軍事同盟を破棄することになり、倭女王の責務を果たさない無理な注文ということになった。だから、倭王朝は倭女王壱与・伊耶那美命の欲求を無視し、急遽(きゅうきょ)倭女王壱与の代役を立てて狗奴国を討伐した。
この倭女王伊耶那美命の代役を務めたのが、載斯烏越・伊耶那岐命の第二后の天照大御神・伊迦賀色許売命(いかがしこめのみこと)であった。
◆『魏志倭人伝』末部の記事は「夏音名が載斯烏越の伊耶那岐命の正妃の伊耶那美命は狗奴国討伐を頑(がん)として認めず、第二后の天照大御神は狗奴国討伐を積極的に推し進めるものであったゆえ、天照大御神が倭女王伊耶那美命の代役をつとめた」と伝えるものであったのである。
A図に示す瀬戸内海地方から大阪湾にのぞむ地域に山丘上に所在する集落が点在する。これらの集落は一般に海上や平野を眼下にのぞむ、眺望のひらけた高所に所在する。この遺構は、弥生集落の最も一般的な農耕中心の集落とは考え難い特色を有する。
これゆえ幾人かの学者たちは、これらの遺構を“おそらく狼煙台(のろしだい)などの軍事的な集落であろう”と指摘する。
『魏志倭人伝』には「七、八十年前に倭国は乱れ、何年ものあいだ互いに攻め討伐しあった」と伝える記述がある。A図の軍事的な集落は、7、80年前(170~180年ころ)に倭国と狗奴国が戦った時の倭軍が設営した狼煙台の要塞であったにちがいない。というのも、山上集落が分布する形状は香川県の小豆島(しょうどしま)・岡山県の児島半島・児島湖を包囲する陣形となっているからである。
『魏志倭人伝』末部は狗奴国について「倭の女王の卑弥呼と素(もと)より和せず」と記述する。この文中の「素より」は「七、八十年前に倭国は乱れ」を意味するものであったにちがいない。
だから、A図の山上集落の分布状況による陣形は狗奴国の中心部が小豆島や岡山県中心部の倉敷市・岡山市であったと現在に伝えるものと考えるべきことになる。
◆B図に示すように、「鬼の姿に似る銀河」は〔右手〕に見立てられて[右]と[又]の字となった。これゆえ、[右]と[又]の字音は同じで「ユウ」、字義も同じで「右。右手」である。[又]の金文形は「鬼の姿に似る銀河」を〔右手〕に見立てて、「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」を「渦巻」の形にデザインした。
B図はC図のごとく、〔女性の子宮から分娩(ぶんべん)された胎児〕と見立てられて、[女]に[又]が加わる[奴]となった。
D図に示すように、「鬼の姿に似る銀河」は〔人が歩いて踏み固めた堅い地面〕に見立てられて、C図の[女]にB図の[又]が加わる[奴]は「木製の鋤(すき)の刃先でも堅い地面を耕すことができる強い力を有する太い腕と屈強な肉体を有する働き盛りの18歳くらいの若者」をあらわすことになった。
これゆえ、[奴]の字は「ものすごい力」をあらわした。
「奴」の下に[心]を加えると[怒]という字になる。
“こん畜生! こん畜生!”と怒鳴って鋤を堅い地面に振り下ろして作業すると、体の中から強い力が湧き出て土を掘り起こすことができる。
C図に説明をもどすと――子宮口がすっかり開くと、胎児の頭が下がり、母体の直腸をおさえるために反射的に自然に、母体が雷のように大きな声をあげる怒責(どせき╱いきみ、きばること)がおこる。この怒責がおこると、腹圧が加えられる。陣痛と腹圧との力で、胎児の頭はますます押し下げられて、C図の右図のようについに膣の入口から胎児の頭が見えるようになる。この「怒責」からも[奴]は「ものすごい力」をあらわした。
E図は『説文解字』が[告]の字源を「牛、人に触れる。角に横木を著(つ)く。人に告ぐる所以(ゆえん)なり」と解説する文の解明図である。
E図に記したように[牛]の字源は、F図に示す「ジャコウウシ」である。
B図の[又]の字源部は、E図の「ジャコウウシの顔や口・目・角の一部」となる。
G図の右図に示すように、ジャコウウシのオス同士は突進して角を突き合わせてものすごい力で激しく争う。「相撲」を「角力」とも記すのは、角力(すもう)がジャコウウシのオスが突進して角をつきあわせて激しく争う様子から起源したからであると考えられる。ジャコウウシのオスは力士の押し相撲のごとく両者突進してものすごい力で角をつきあわせて激しく争う。だから、[奴]の字は「ジャコウウシのオス同士が角を突き合わせて争うときのものすごい力」と意味することになった。
また、G図の右図の〔二頭のジャコウウシがものすごい力で突き合わせる角の隙間〕は、左図に示す狭い〔子宮口(子宮頸部)〕に見立てられた。この狭い子宮口を胎児の頭の最も大きな部分が子宮口(子宮頸部)を楔(くさび)状にひろげて開いていくときに、[奴]の「ものすごい力」が加わるとされた。
(「子宮口」と「子宮頸部」は同一部分ではなく、「子宮口」はG図上部の膣(産道)側にある「外子宮口(がいしきゅうこう」と呼ぶべきで、「子宮頸部」とは別物である。ゆえに、正しくは「くさび(楔)状に子宮頸部をひろげ子宮口(外子宮口)が開いていく」と記述して、「子宮口」と「子宮頸部」は同一とするのは誤りとなる。ブログで幾度となく字源解説する時に専門的に細部にわたって表現すると難解になると考え、容易に理解していただくために概略的に「子宮口」と「子宮頸部」を同一した)。
G図の[奴]の字源「ものすごい力」が加わるとされた「子宮頸部」は、H図に示す古代東洋科学の基軸となった[亠(とう)][玄]の字源となった。つまり、天頂点を通過する銀河部位が東北から昇り、[奴]の字源「ものすごい力」で天頂点に到達すると考えられたことになる。
『説文解字』は[犠]の字源を「宗廟(そうびょう)の牲なり」と解説し、『説文解字』は[牲]の字源を「牛、完全なるなり」と解説する。ゆえに、[牛]の字源はF図に示す「ジャコウウシ」である。F図に示すジャコウウシは“漢字の始祖”の倉頡(そうきつ)が発明する漢字作成原理〔鳥獣の足跡〕を象徴する聖獣であるから犠牲(いけにえ)として「完全なるなり」と『説文解字』は解説したのである。
G図に示す「ジャコウウシのオス同士が角を突き合わせて争うときのものすごい力」は[奴]の字源となり、B図とD図で解いた「木製の刃先の鋤で堅い地面を耕すことができる強い力を有する太い腕と屈強な肉体を有する働き盛りの18くらいの若者」も[奴]の字源であった。そして、ジャコウウシは最も完全なる犠牲(いけにえ)であると定められたゆえ、『魏志倭人伝』が「卑弥呼の墓を作る時に葬に徇(じゅん)ずる者、奴婢百余人」と記述する徇葬において、[奴]の「ジャコウウシ」に代わって、同じく[奴]となる「18歳くらいの若者」が犠牲(いけにえ)に選ばれたのである。
◆I図はA図の山上集落群に包囲される狗奴国の中心部であった現在の岡山県東部(旧国の吉備・美作)と香川県の小豆島の地宜(ちぎ╱地図の形)である。
J図に、狗奴国の範囲を示した。狗奴国は、現在の広島県東部(旧国の備後)の東半分から岡山県(旧国の備中・吉備・美作)と香川県の小豆島までであったと考えられる。
I図に示すように、小豆島の地宜は狗(イヌ)に観える。
この[狗]をジャコウウシの天敵の〔オオカミ〕に見立てると、〔児島半島〕は〔オオカミに襲われて逃げるジャコウウシの後ろ姿〕に観える。ゆえに、「児島半島」の地宜は[奴]をあらわした。
岡山市の南に在る〔児島湖・児島湾〕は、K図に示す女性の生殖器のうち〔子宮と産道〕に類似すると見立てられた。岡山市は、〔卵管采(らんかんさい)・卵巣〕に相当することになる。ゆえに、C図に示す胎児の出産の様子にもとづくと、I図の〔児島湖・児島湾〕は「怒責」をあらわすことになる。
B図に示す[又][奴]の字源における「怒責」は〔渦巻〕の図案となる「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」となる。
したがって、渦巻の〔北アメリカ星雲・ペリカン星雲〕に見立てられたI図の〔児島湖・児島湾〕は〔渦巻→円陣〕をあらわすものとなった。
これゆえ、I図の〔児島半島〕の地宜は〔天敵のオオカミに襲われて、子を真ん中に隠して防御するジャコウウシの円陣〕を示すものとなった。というのも、〔オオカミ〕の姿に似る〔小豆島〕の北にある〔逃げるジャコウウシの後ろ姿〕に観える〔児島半島の地宜〕は、〔円陣を組む端のジャコウウシ〕にも観えるからである。したがって、J図の〔岡山県東部全域〕は〔ジャコウウシの円陣〕に相当することになる。
以上のごとく、I図に示す「小豆島」が[狗]の字源、〔岡山県東部、児島半島、児島湖・児島湾〕が[奴]の字源を示した。したがって、「狗奴国」の中心部はA図の狼煙台の遺構跡が残る山上集落の分布群が包囲する岡山県と香川県小豆島であり、狗奴国の全範囲はJ図のごとくであったと考えられる。
◆岡山市・倉敷市一帯が「狗奴国」の中心部であったことは、『万葉集』に収録される和歌でも証明することができる。次回には、I図に示す岡山・倉敷市一帯が『万葉集』の和歌で狗奴国の中心部であったことを証明する。
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