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2015年10月20日 (火)

古代エジプト文字の字源・14

ヒエログリフ「霊」の字源解説・Ⅵ

◆前回までは、古代エジプト文字=ヒエログリフが下に示す「文字作成銀河」における各部の名称を示す銀河の形状から作られたことを立証してきた。

Photo_2
(C) 2015 OHKAWA
 

 上に示すように「文字作成銀河」の左上の部分に「オス鹿の横顔に似る銀河」がある。そのうち、「十字の銀河」より北側の銀河各部の名称はA図のごとくになる。
E541a

(C) 2015 OHKAWA

 A図の最上部は「最北の輪の銀河」と名づけた。この「最北の輪の銀河」に「三つ輪の銀河」を加えて「四つ輪の銀河」と定めた。
 この「四つ輪の銀河」(三つ輪の銀河+最北の輪の銀河)という名称の銀河部が、今回において登場する。

◆エジプト最古の文字は、紀元前3150年ころ、ちょうどエジプト第1王朝が始まる少し前に出現した。
 わがブログ「古代エジプト文字の字源」前々回と前回で指摘したように――初期王朝時代(12王朝・紀元前2920-同2649)、そして第3王朝-第6王朝(紀元前2649-同2150)までの古王国時代の首都は北緯30度のメンフィス(古称は「プタハのカーの家」)であった。第7王朝-第10王朝までの第1中間期(紀元前2150-同2040)の首都はメンフィスより南のヘラクレオポリスであった。第11王朝(紀元前2040-同1991)は中王国時代の始まりで、首都はテーベであった(ヘラクレオポリスより南)
 〔歳差(さいさ)〕という天文現象を用いると、B図のごとく、紀元前4000年-同2000年までの北緯30度のメンフィスの天頂緯度線が貫通した銀河部をあらわすことができる。
E542
(C) 2015 OHKAWA

 B図に示す(1)の紀元前4000年は、最古のエジプト文字が出現した時よりも約850年前となる。紀元前4000年において、「三つ輪の銀河の南部」がメンフィスの天頂にめぐってきた。紀元前4000年から紀元前2000年までにおいて、メンフィスの天頂にめぐってきた銀河部は次第に南下し、つまり「三つ輪の銀河南部・十字の銀河の左足(東側の足)」より南の銀河部へさらに南の銀河部がめぐってくることになった。
紀元前4世紀、B図に示す〔歳差〕における天頂にめぐってくる銀河部にもとづいて、時の第30王朝は「紀元前4000年」を「天地が創造された原初時代」と定めた。第30王朝は「天地が創造された原初時代」を「三つ輪の銀河南部より北側・十字の左足」より北側の「四つ輪の銀河・十字の銀河の左足より上の部分」のイメージから想像した。
 
 C図は、第30王朝(紀元前380-同343)が想像した〔天地創造図=原初の光景図〕を表現する作品である。
  C
図は『原色現代科学百科大事典 1・宇宙』(学習研究社発行)2頁に掲載される、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する第30王朝(紀元前380-同343)の石棺に彫刻された「古代エジプト人の宇宙観を示す彫刻」という名称がつく写真を図化したものである。上記したように、古代エジプト文字は「文字作成銀河」つまり「宇宙」から作られた。だから、C図は「古代エジプト人の宇宙観を示す彫刻」と称されることになった。


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(C) 2015 OHKAWA

 

 C図中央の天の女神・ヌトの体で包囲される円形の部分は「原初の海」をあらわすと指摘されている。したがって、C図は古代エジプト王朝の天地創造神話を表現している。いいかえると、C図は第30王朝の時代に想像されていた「原初時代における天地創造図」を表現する作品である。
 エジプトの天地創造神話は――天空の神は女神の「ヌト」である。大地の神は男神の「ゲブ」。ヌトとゲブは夫婦である。ヌトとゲブはかたく抱き合っていた。天空の女神ヌトを支えているのは大気の神の「シュー」である。大地の男神ゲブはシューと湿気の女神「テフネト」の間に生まれた。この大気の男神シューがヌトを持ち上げたため、ヌトとゲブは引き離されて、天と地が分離した。ヌトは太陽を生む天空の女神となり、ゲブは星を胎生(たいせい)させる地の神となった――と伝える。
 D図に、C図最下部の彫刻の形を示した。D図は、「天頂緯度線のキャッチ」を表現する「霊」を意味する<カー>と発音するヒエログリフの図案となる。
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(C) 2015 OHKAWA

 というのも、D図の「両腕」の図案はE図に示すように「霊」をあらわすヒエログリフの字形に合致するからである。
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(C) 2015 OHKAWA

 F図は、B図に示した(1)紀元前4000年、(2)紀元前3000年、(3)紀元前2000年の天頂緯度線が貫通したE図右図の「霊」のヒエログリフの字源となった「長方形の暗黒天体部」の拡大図である。
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(C) 2015 OHKAWA

 これゆえ、D図は「霊」のヒエログリフをあらわす図案となる。D図の「両腕」の下の「両足」は「天頂緯度線をキャッチする観測者の両足」をあらわす。というのも天頂緯度線をキャッチするときに、観測者はD図のごとく両足をそろえるからである。

◆G図は、B図左上の「十字の銀河・四つ輪の銀河(三つ輪の銀河+最北の輪の銀河/A図を参照)」の90度転回した図である。
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(C) 2015 OHKAWA


 G図下部にある「十字の銀河」は、H図に示すように東半分は男性の半身に観え、西半分は女体に観えて一体となる。
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(C) 2015 OHKAWA

 だから上記した天地創造神話にて語られたように――G図下部の「十字の銀河」は「かたく抱き合った(一体となった)ヌト(西半身)とゲブ(東半身)」に見立てられたことになる。また男性の姿に相似する東側が「大気の男神シュー」、女体に相似する西側が「天空のヌト」となった。またG図下部の「十字の銀河の男性の体と女体の境目となる暗黒天体部気の男神シューと湿気の女神テフネト」に見立てられた。そして、「十字の銀河の左手が持つ[(ぶつ)]の銀河」は「ヌトとゲブを引き離した、ヌトが持ち上げた大気の男神シュー」ということになる。
 ゆえに、G図に示すように「四つ輪の銀河の東側のフチ」が「アーチ形に体を曲げる天空の女神ヌト」、また「四つ輪の銀河」は「大気の男神シューと湿気の女神テフネト」をあらわした。
 そして「四つ輪の銀河の東側のフチに接する天空の女神ヌト」と「十字の銀河の東側の大地の男神ゲブ」の中間にある「三つ輪の銀河」は「ゲブがヌトと交わって生ませた(胎生させた)無数の星」ということになる。その証拠に、「三つ輪の銀河」には無数の星がひしめき密集する。この壮麗な「三つ輪の銀河」は「満天の星」をあらの光景のイメージとなり、またゲブがヌトと交わって女神に生ませた無数の星のイメージとなった。
 だから、G図に示した銀河(宇宙)の光景は原初時代のイメージとなり、天地創造のモデルとなったのである。

◆今から約6000年前の紀元前4000年は地球温暖化によって海水面の上昇がピークをむかえ、現在の水面より23m、あるいは5mも高くなったという。この環境によって、エジプトの北の地中海や東の紅海の海水面が高くなり、ナイル川の水面も上昇したため川幅も現在より広くなった。
 この紀元前4000年頃の地上の水面が天空に近づいた状況を、エジプトの天地創造神話は「大気の神シューは天空の女神ヌトを持ち上げた」と表現したのである。またナイル川の水面が高くなり、大地が浮き上がって天空に近くなった状況はB図の「ナイル河」のイメージとなる「激流の銀河」の上側(上空)に立つH図の「十字の銀河」に見立てて、「天空の女神ヌトと大地の男神ゲブは抱きあっていた」と表現することとなった。
 ところが、紀元前3000年になると海水面は低くなり、ナイル川の水位も下がった。ゆえに、ナイル川の水につかっていた陸地が出現し、ナイル川の水面が天空より遠ざかったように感じられることになった。この印象を、神話は「天空の女神ヌトと大地の男神ゲブは引き離された」と表現したのである。
 このような紀元前4000年から紀元前3000年までの状況は、C図の石棺彫刻の天空の女神ヌトに覆われる円形部、すなわちI図に示す「原初の海」の彫刻部で表現された。
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(C) 2015 OHKAWA

「原初の海」の円はA図に示した「三つ輪の銀河」における円形の「いちばん北側の円形の銀河」からデザインされた。また、天地創造神話で「ヌトは太陽を生む天空の女神となった」と語られる。ゆえに、ヌトが生んだ「太陽」を表現することになって「原初の海」の部分は円形となったのである。
 
 I図に示すように、円形の「原初の海」の上部中央の女性の姿は「十字形」となる。だから、「十字形の女性の姿」は「十字の銀河の上半身」をデザインして「天空の女神ヌト」を表現している。
 したがって円形の「原初の海」下部中央の男性の顔はゲブの顔、すなわち天空の女神ヌトと引き離された大地の神ゲブを表現する。
 J図に示すように、「十字の銀河の下半身(腹部)」には「子宮部」が〔鼻〕となる両眉、両目が微(かすか)かに見える「顔」が存在する。この「顔に見える銀河」は「大地の男神ゲブ」をあらわした。
 また、J図に記したように、水位の上昇がピークとなりそして低くなった「ナイル川」に見立てられる「激流の銀河」に隣接する「鬼の横顔に似る銀河」も「ゲブの顔」をあらわした。
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(C) 2015 OHKAWA

 I図に記したように、「原初の海」の左端には「大気の神シュー」をあらわす図案が表示され、右端には「湿気の神テフネト」の図案が配されている。
 K図に示すように、「大地の神ゲブ上部の楕円形」は「十字の銀河の子どもを妊娠した円い腹部」をあらわす。ゆえに、「楕円形」は「星の胎生(たいせい)」をあらわし、「楕円形の下の顔」は「ヌトに星を胎生させた大地の男神ゲブ」を表現していることになる。
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 以上のごとく、「原初の海」の彫刻部は「大地の男神ゲブは大気の男神シューと湿気の女神テフネトの間に生まれた。この大気の男神シューがヌトを持ち上げたため、ヌトとゲブは引き離され、天地が分離された。ヌトは太陽を生む天空の女神となり、ゲブはヌトに星を胎生させる大地の神となった」という天地創造神話を表現するものであった。
 だから前述したように、I図の「十字の銀河の上半身・天の女神ヌト」の下部の「原初の海」が円形であるのは、(1)「ヌトが生んだ円い太陽」と(2)「三つ輪の銀河におけるいちばん北側の円形の銀河」をともに表現するものであったからである。

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