G-T0XYQT12LL 古代エジプト文字の字源・22: 卑弥呼の逆襲

« 古代エジプト文字の字源・21 | トップページ | 古代エジプト文字の字源・23 »

2015年12月 7日 (月)

古代エジプト文字の字源・22

 エジプト神話は文字を作り、また辞典となった

◆わがブログ「古代エジプト文字の字源」シリーズは、前回(21)まで一貫して私が「文字作成銀河」とよぶ銀河範囲の各部の形から古代エジプト文字(ヒエログリフ)が作られた事実を証明してきた。
 「文字作成銀河」は「古代エジプト文字の字源」の1回・15回・20回の冒頭に掲載し、前回の21回の初頭部にも掲載した。
 世界中探しても、文字となった銀河各部には名称が存在しないので、私は下のごとく各部の名称を定めた。
Photo
(C) 2015 OHKAWA
 

◆前回の「古代エジプト文字の字源・21」では、A図に示す各部から鳥のトキの頭を有するトト神が創造されたことを証明した。
E811
(C) 2015 OHKAWA
 
 B図に示すように、「北アメリカ星雲と長方形の暗黒天体部の西の辺」は〔トキの顔とくちばし〕に相似すると見立てられた。
E812
(C) 2015 OHKAWA
 
 この〔トキの顔とくちばし〕となった「北アメリカ星雲と長方形の暗黒天体部」は、A図では〔文字を書く筆〕に見立てられた。
 前回にてカラー写真を掲載して証明したように、A図の「人の横顔に酷似する銀河の額(ひたい)」にある「北天の最耀部(さいきぶ)の西側」はトキの翼のような形となる。この「トキの翼に似る北天の最耀部」はトキの翼の裏面と風切羽と尾羽のごとくトキ色(桃の花のごとくの淡紅色)に輝く。A図に示したように、「人の横顔に酷似する銀河」は〔文字を書く官職の書記の顔〕、「鬼の姿に似る銀河」が〔書記の筆を持つ右手〕、「長方形の暗黒天体部」は〔文字を書くパピリスの巻物〕に見立てられた。
 だからA図に示す銀河から、C図に示すガーディナーのリスト「G26」と分類される「トキ」のヒエログリフとトキの頭と人体を有するトト神が創造された。
E813
(C) 2015 OHKAWA

 トト神は書記および文字を筆記する行為の守護神であった。トキの頭と人体を有するトト神が書記および文字を筆記する行為の守護神であることは、A図の銀河を観察すれば容易に理解できる。A図の「トト神の銀河」は、すべての古代エジプト文字(ヒエログリフ)は文字作成銀河から作られ、古代エジプト王朝創立の神々もまた文字作成銀河から創造されたことを今日に伝える。王や女王・神官・書記は文字作成銀河から神々が創造され文字が作られた共通知識(学術)を有する特権階級であった。
 これゆえ、古代エジプト神話は文字を作って字数を増やす役目があり、また文字作成銀河は作った文字やことば()を知ることができる字書・辞典の役割を有した。

 
◆エジプト王朝創立の神話は――オシリス神は弟のセトに殺されて死体を切り刻まれる。妹であり妻であったイシスが、バラバラになった体を集めて、オシリスを復元した。そして息子のホルスは父オシリスを殺害した叔父のセトに片目をくりぬかれ、その目は切り刻まれて捨てられた。しかし、学問と文字の神であり、魔術の神のトト神が辛抱づよくそれらを集めて元通りにした。ホルスが復讐をとげて、父の後を継ぐ――と創作された。
 この神話の後半部、すなわちオシルスとイシスの間に生まれた息子ホルスの片目をトト神が辛抱づよく集めて元通りにしたという神話部のモデルとなった銀河と幾つかの文字が作られた秘密を、今回は解明する。この神話の前半部のモデルとなった銀河と幾つかの文字が作られた秘密は次回において解明する。

◆D図の左上に配するガーディナーのリスト「F1」の「雄牛の頭」が字形となるヒエログリフは、紀元前16世紀ごろに出現した原シナイ文字の〈アルプ〉と発音する「雄牛の頭」を図案する字となり、紀元前11世紀ごろから出現したフェニキア文字の〈アレフ〉と発音する文字に受け継がれて、現在、世界70ヵ国以上で公用語の文字として使われるABCアルファベットの[]の字の初文(最初の文字、つまり原字)となった。
 D図の右図が示すように、「雄牛の頭」のヒエログリフの字源範囲には「人の姿に似る銀河・激流の銀河(A図参照)・長方形の暗黒天体部」に「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」や〔雄牛のアゴ〕に相当する「コールサックの北部」が存在する。
E814
(C) 2015 OHKAWA

 D図が示すように「北メリカ星雲・ペリカン星雲」は〔雄牛の目〕に相当する。
 A図では「北アメリカ星雲」は〔筆の上部〕、B図では〔トキの頭〕に見立てられた。
 D図において〔雄牛の目〕となる「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」が「ホルスの目」となり「ホルス神」となった。
 「ホルスの目・ホルス神」となった「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」は、片目であって両目ではない。また後でその秘密を解明するように、「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」からなる「ホルスの目」は6つの部分に分割されて、6つのヒエログリフが作られた。ゆえに、神話では「叔父のセトにホルスの目は切り刻まれて捨てられた」と語られた。そして、「ホルスの目・ホルス神」となる「北アメリカ星雲」はA図における「トト神」をあらわす〔文字を書く筆〕となり、B図では「トト神の頭」となる〔トキの頭〕となった。
 だから、エジプト王朝は「ホルスは父オシリスを殺した叔父のセトに片目をくりぬかれ、その目は切り刻まれて捨てられた。しかし学問と文字の神のトト神が辛抱づよくそれらを集めて元通りにした」という物語を作って文字数を増やし、文字作成銀河を字書・辞典としてあつかっていたことになる。

◆上記の神話にもとづいて、E図に示した「ホルスの目」のヒエログリフが作られた。
E815
(C) 2015 OHKAWA
 
 ガーディナーのリストの「D10」のヒエログリフは、表意文字または決定詞として「ホルスの目」を」意味する〈ウジャト〉を構成する文字の中で使われる。〈ウジャト〉の元の意味は「健康な目。回復した目」である。
 わがブログ「古代エジプト文字の字源」が前回まで証明したように――ヒエログリフの学術体系を一つに集めて束ねる基軸は、F図の右上に示す〔天頂緯度線と子午線のキャッチ〕、漢字でいうと〔[]のキャッチ〕であった。
E816
(C) 2015 OHKAWA

 [](天頂緯度線と子午線)をキャッチできると精確に1度の60分の1の1分の誤差も測量できる。ゆえに、日々の鍛錬によって研ぎ澄まされる[]をキャッチできる眼力は原始から氷河期において人類が滅亡しないですみ、道路網が未発達であった古代の人々が道に迷わずに最も大事な命を確保することができた最高最良の能力であった。だから古代エジプトの人々にとって〈ウジャト〉の元の意味の「健康な目。回復した目」とは「命が確保できて寿命が伸びるすべての人々の願望であった[]をキャッチできる目」であった。
 E図の「ウジャトの目」と呼ばれた「ホルスの目」は、G図左図に示すハヤブサの頭部を有する「ホルス神」をあらわすことになった。G図右図の「ハヤブサ」のヒエログリフは表意文字として「ホルス神」の名前〈ヘルゥ〉をあらわした。
E821
(C) 2015 OHKAWA

 ホルス神は初期の王朝が創設される以前から広く崇拝されていた。それは、前述したように古代エジプト人は誰もが「[]をキャッチできる健康な目を持ちたい」と願望し、〔[]をキャッチできる健康な目〕の譬(たと)え・象徴するものが「ハヤブサの目」であったからである。その証拠に、「ホルス」という名は「はるかにいる者」「上にいる者」と意味し、「はるか上空にいるハヤブサ」をあらわした。ハヤブサは上から急降下して獲物を捕獲するとき、時速250㎞以上のスピードを出すといわれる。F図の[]のキャッチ(天頂緯度線と子午線のキャッチ)はわずか46秒でおこなわなければならなかった。この〔寸秒で行われた[]のキャッチ〕は〔ハヤブサが降下攻撃するときのスピード〕にたとえられて、ハヤブサの頭を有するホルス神が創造された。
 G図左図に示すホルスがかぶる冠は、H図の左側に配置する「二重冠」である。わがブログ「古代エジプト文字の字源・18」で証明したように、「二重冠」は上エジプト王がかぶる「白冠(しろかんむり)」と下エジプト王がかぶる「赤冠(あかかんむり)」を組み合わせた冠である。H図中央の「赤冠」はH図右図の「鬼の姿に似る銀河と北アメリカ星雲・ペリカン星雲」から作られた。
E822
(C) 2015 OHKAWA
 
 「白冠」はA図に示した「北天の最耀部」から作られた。「北天の最耀部」とH図右図の「鬼の姿に似る銀河」は共に〔ボウリングのピン〕の形に相似すると見立てられた。ゆえに、「二重冠」と「赤冠」の字源は同一となり、「二重冠」の字源はH図右図の「鬼の姿に似る銀河と北アメリカ星雲・ペリカン星雲」ということになった。というのも、「北天の最耀部」と同じく〔ボウリングのピン〕の形に相似すると見立てられたD図の「鬼の姿に似る銀河」は「雄牛の頭の一部分」となり、D図の「雄牛の目」となる「北アメリカ星雲・ペリカン星雲」はE図に示すように「ホルスの目」となったからである。このような「赤冠」と「二重冠」の字源銀河は同一銀河という秘密にもとづき、ホルスは二重冠をかぶっているのである。


◆I図に示すように、叔父のセトが切り刻んだとされるホルスの目は6つの部分に分数が割りふられた。
E823
(C) 2015 OHKAWA
 
 J図の上図はガーディナーのリスト「D4」のヒエログリフ、中央図は「D11」の「2分の1ヘカト」、下図は「D14」の「16分の1ヘカト」のヒエログリフである。
E824
(C) 2015 OHKAWA

 K図はガーディナーのリスト「「D15」の「32分の1ヘカト」のヒエログリフの字源解明図である。
E831
(C) 2015 OHKAWA

 L図はガーディナーのリスト「D16」の「64分の1ヘカト」のヒエログリフの字源解明図である。
E832_2
(C) 2015 OHKAWA

 M図に示す国際天文学会が名づけた英語名の「コールサック」は「石炭を入れる袋」を意味する。ゆえに、古代エジプトでは「コールサック」の形を〔穀物を入れる袋〕に見立てた。「長方形の暗黒天体部」は〔袋の口〕、「鬼の姿に似る銀河」は〔計量する人の手〕、「人の横顔井に酷似する銀河」は〔穀物を計量する人の横顔〕に見立てた。
E833

 マリア・カルメラ・ベトロ著/南條郁子訳『[図説]ヒエログリフ事典』(創元社)はトトが魔術の神とされる秘密について「6つの分数の和はトトに復元された全体、すなわち1をあらわさなければならないはずだが、じっさいは63/64にしかならない。この不足分の1/64は、トトの魔術が補ったとされている。」と説明する。穀物の計量は乾燥した水分によって変わる。乾燥して間もないころの水分の多い時に精確に計った量は、1カ月後に乾燥した時に精確に計った量よりもわずかに少ない。これが、64分の1少ないトトの魔術となった。
 また、トトの魔術が補った〔1/64の不足〕はF図に示す〔[]のキャッチ〕は〔1度の64分の1の約1(0.94分=56)の誤差まで精確に測定できる〕を表示することになった。この「64分の1ヘカト」のヒエログリフは、L図とM図に示したように「ハヤブサの目の下の黒斑」の図案とされた。ハヤブサの周囲の目の下の黒斑は、高空での高速飛行中の光を吸収して、まぶしさを防ぐものとされる。エジプトは緑豊かな高地と赤茶けた砂漠のコントラストからなる。この砂漠に旅するときに強烈な太陽の日差しで目が痛むと、1度の64分の1分の精度で測定できる眼力を失った。ゆえに、まぶしさが防ぐハヤブサの目の下の黒斑の役割にもとづき、「ホルスの目」は「緯度が約1分の精度で測定できる眼力〕をあらわすことになった。この「ホルスの目」をあらわす「64分の1ヘカト」の字源は「緯度1分の差が測量できる長方形の暗黒天体部の西の辺の星屑」である。このような「道に迷わずに命が確保できる約1分の誤差まで測定できる、[]をキャッチできるまで回復した健康な目」を、エジプト神話は「叔父のセトに切り刻まれて捨てられたホルスの目を、学問と文字の神であり魔術の神であるトト神が辛抱づよくそれらを集めて元通りにした」と説明するものであったのである。
 以上のごとく古代エジプト王朝は文字作成銀河から神話を作って文字を増やし、また文字作成銀河を文字やことば()を知ることができる辞典と定めていたのである。

|

« 古代エジプト文字の字源・21 | トップページ | 古代エジプト文字の字源・23 »

学問・資格」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

卑弥呼」カテゴリの記事

邪馬台国」カテゴリの記事

歴史」カテゴリの記事

漢字の起源」カテゴリの記事

ヒエログリフ(聖刻文字)」カテゴリの記事

ピラミッド」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 古代エジプト文字の字源・21 | トップページ | 古代エジプト文字の字源・23 »